1人が本棚に入れています
本棚に追加
「••••••その子がどうしたの?」
「その子は昔、いじめられていたんだ。私の一番の親友。その子を助けたんだ。守りたかった。どうしても。でも、守れなかった。その代わりに、私がいじめの標的にされた」
「••••••そう••••••だったんだ」
あまりの告白に、声が上手に出せなかった。
「うわああああああああああああああ!」
「••••••それも曲の歌詞?」
彼女がいきなり叫び出した。
正直、驚いた。
「いじめなんて、なくなっちまえばいんだよー!」
その彼女の叫びに、同情した。
そうだ。いじめなんて、無くなればいいんだ。
彼女は、また笑ってこっちを見た。
少しの涙がこぼれていた。ほんの少しだけ。
「••••••今日はありがとう!楽しかったよ!私を助けてくれてありがとう」
これで、助けたつもりなんてない。
「••••••帰るの?」
「うん。じゃあ、さよなら」
彼女の最後の言葉には、何か違和感を感じたが、特に深追いはしなかった。
次の日、いつも通りに学校に行く。
そこに彼女はいなかった。
「••••••嘘••••••だろ」
彼女がいないと言うのに、周りはまるで、最初からいなかったように、いつものように騒がしかった。
僕は、彼女の最後の言葉の本当の意味に気付けなかった。
あの笑顔が嘘だったと言うことに、気付けなかった。
あの時、君の涙は冷たかった。
この日僕は、自分の虚しさに気付いた。
最初のコメントを投稿しよう!