君の涙は冷たかった

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 「••••••その子がどうしたの?」  「その子は昔、いじめられていたんだ。私の一番の親友。その子を助けたんだ。守りたかった。どうしても。でも、守れなかった。その代わりに、私がいじめの標的にされた」  「••••••そう••••••だったんだ」  あまりの告白に、声が上手に出せなかった。  「うわああああああああああああああ!」  「••••••それも曲の歌詞?」  彼女がいきなり叫び出した。  正直、驚いた。  「いじめなんて、なくなっちまえばいんだよー!」  その彼女の叫びに、同情した。  そうだ。いじめなんて、無くなればいいんだ。  彼女は、また笑ってこっちを見た。  少しの涙がこぼれていた。ほんの少しだけ。  「••••••今日はありがとう!楽しかったよ!私を助けてくれてありがとう」  これで、助けたつもりなんてない。  「••••••帰るの?」  「うん。じゃあ、さよなら」  彼女の最後の言葉には、何か違和感を感じたが、特に深追いはしなかった。  次の日、いつも通りに学校に行く。  そこに彼女はいなかった。  「••••••嘘••••••だろ」  彼女がいないと言うのに、周りはまるで、最初からいなかったように、いつものように騒がしかった。  僕は、彼女の最後の言葉の本当の意味に気付けなかった。  あの笑顔が嘘だったと言うことに、気付けなかった。  あの時、君の涙は冷たかった。  この日僕は、自分の虚しさに気付いた。
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