未成年

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反射する黄金色の光が頭に広がった瞬間、自分の部屋で目が覚めた。 あわててスマホを見ると、紘一さんからLINEが来ていて 『楽しい夜をありがとう。お酒の味はどうだったかな?またこっそり飲みましょう』 途中から記憶が曖昧で、何か粗相がなかったか不安になって返信したらすぐ既読がついて返事が来た。 『普通に楽しく話してたよ。それからスイッチが切れたみたいに眠ってしまったから(笑)。日付け変わるくらいの時間だったかな。いたずらしたい気持ちを抑えて送りました。かわいい寝顔ごちそうさま』 たまによくわからない表現をする紘一さんの言葉に悩みつつ、お礼とお詫びを返信して、母にきのうの様子を聞きにいった。 未成年が遅くまで酒飲んでたなんて怒られるよなと思いつつリビングにいた母をつかまえて声をかける。 「お母さん、きのう…」 俺の言葉におおげさにビクッとして母がふり向いた。 「聡、神田さんと知り合いなの?」 一瞬思考停止した。 紘一さんの名字忘れてた。神田さんだった。 「俺が町中うろうろしてたら注意されて、そんなに大人になりたいならって、お酒…、飲ませてもらった」 「それはいいけど、あなた途中で寝ちゃったんですって?」 飲酒はいいんかい。 「それが、途中からあんまり記憶がない」 「眠ってしまったからって送ってくれたわ。聡を抱いて神田さんが現れた時心臓が止まるかと思った。事情は聞いたけどお酒はまだ早いわよ」 「いや、酒飲みに行ったんじゃないんだけど、なりゆきで。ほぼ説教されてた」 「そうやってどんどん深みに引きずり込むのがあの連中の常套手段だから関わらないで」 「なんでそういち…、神田さんの事知ってるの?」 「この街で彼を知らない人なんかいないわ」 ふう、とため息をついて母親が目をつむる。 元をたどればあなたが家に男を引き込むから夜の街をうろついてたんだけど。 「あの人は人を殺したことがあるって噂」
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