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「は?」
確か聡さん、今29歳だったかな。
「その噂が本当なら今頃刑務所なんじゃない?」
未成年で罪を犯したとすれば少年院送りだけど、あの紘一さんと人殺しのイメージが一致しない。
それより。
「お母さんどうして紘一さんを知ってるの?噂だけじゃないよね」
「お父さんの後輩だったもん」
親父、紘一さんが所属している組織の構成員だったのか。
俺は両親のこと、なんにも知らない。
「あなた可愛い顔してるからターゲットにされてるに違いないわ」
「お母さんが家に男を引っ張り込まなきゃ会わないけど」
母は黙った。
そんなに危険人物なのか、紘一さんは。
大人になりたくて背伸びしてる俺だけど、あの人に関わっていけない理由がわからない。
「みんなあの人が少年好きなの知ってるわ。聡みたいな子が好みよ。そういう意味でも近づかないで」
なんだ、そんな事か。
「この時代に、お母さんは古いよ」
「古くても何でもいいから。世間体もあるから男同士の恋愛なんてやめて」
ほらきた。そういう理不尽な大人の事情が一番気に入らない。
何が世間体だ、ふざけんなと叫びたかったが、母親を目の前にしてそれは言いにくかった。
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