野外の行為

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大きな醜い手がたくさん俺の体を這いずり回る。 「…‥!!」 その感触に耐えられなくて悲鳴をあげた。 視界に映るのは心配そうに俺を覗き込む紘一さんの顔と、ドアを体ではさんでこちらを不安げに見ている母親の姿。 「起きた?大丈夫だから…」 自分のベッドで横になっている俺の顔にかかった髪を梳きながら落ち着いた紘一さんの声が聞こえた。 「悪い夢だよ。もう少し横になって」 「ゆ、め…」 公園の出来事がフラッシュバックして俺の体がビクッと動く。 「週末に散歩するの、本当に習慣になってるんだね」 目線だけ俺の母にうつす。 「そりゃ毎週母親のセックスなんか見たくも聞きたくもないもんね」 母は何か言いたそうだったが、相手が紘一さんだからか無言だった。 「思春期の男の子に、もう少し気を使ってあげてほしかったですね。補導されかけるわ、男に強姦されるわ、親の責任放棄しすぎですよ」 「…‥」 「それとも邪魔でした?自分の息子」 母がかすかに頷いたのを、俺は見逃さなかった。 「お母さんは男のほうが好きなんだって聡くん」 俺の枕の近くに座って紘一さんが苦笑した。 俺を厄介払いして、男と新しい人生を楽しみたいのか。 それが現実なんだなと思ったら殺意が湧いてきた。 「死ねビッチ。ずっと男咥え込んでろ」 だが今の俺は親を罵るしかできない無力なガキだった。
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