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俺の体を軽々とソファに投げつけて伊純さんはのしかかってくる。 「いやだ‥、あの人には言わないで」 「どうして?喜ぶと思うぞ」 「嫌だ!余計な事言うなっ!!」 俺がふりあげた拳を軽々かわして手首をつかんだ。 「怒った顔も綺麗だけど、落ちつけ」 伊純さんはいつもの貼りつけたような笑みを引っこめた。 「その顔であいつを地獄に落としておいて」 つかんだ俺の腕を自分の肩にまわして、伊純さんはぐ、っと深く入ってきた。 「うっ、…ん」 突然の刺激に声が喉に詰まる。 「まあ、あいつにはもう一生会えないし俺で我慢しとけば?」 「代役になれるほどのモンなの?」 俺は体を揺られながら精一杯の強がりを言った。 「…お前ホントに救えない馬鹿だな」 今まで見たことのない優しい顔の伊純さんがゆっくり近づいてくる。 伊純さんが俺の唇を貪る。 初めてキスされた。 それだけで意識が飛びそうなくらい気持ちよくて俺は無意識にもう片方の腕を伊純さんの肩に回した。 「ガキの面倒なんて見てらんねぇよ、だから」 「‥じゃ、ほっと…いて」 「早く俺に追いつけ」 そう言って動きを止めて真剣な顔になる。 「いいか、美智雄はすぐ出てくる。そしてお前を拉致りにくるぞ。早く大学出て遠くへ逃げろ。この辺にいるよりは安全だ」 「…え?」 「俺が守ってやれるのはあと2年くらいだ。だから自分を守る手段を覚えて、遠くへ逃げろ」
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