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未成年
大人と子どもの境界線てどこだろう。
身体の成長と精神のバランスって合っていない気がする。
というか思春期って背伸びするだろ?
気がつくと俺はまた夜の街を徘徊していた。
半分習慣になってしまって、家にいるのが退屈でどうしても外に出てしまう。
着飾った男女の中を通り過ぎていく。
人というより、明るいネオンの街の風景が好きだった。訝しげな視線を感じながら狭い路地には入らず、大通りをぶらぶらしていた。
「見つけた」
ヤバいと思いながらそっと後ろを振り向くと紘一さんが飽きれた顔で立っていた。
「若いのから連絡来て、聡くんを見かけたっていうから探したら案の定だ」
紘一さんに関わるとどこにいても誰かが俺を見ているのか、監視されていると思うと気分が悪くなった。
「若いからパワー有り余ってるのはわかるけどもう少し健全な遊びしたら?カラオケでも行く?」
今夜も空気が淀んでいるような蒸し暑さで、俺も紘一さんも軽装だった。
「蒸し暑い。梅雨だね」
紘一さんは黒いシャツのボタンをひとつはずした。俺も羽織っていたシャツを脱いで腰に巻く。
突然手首を掴まれて引きずるように歩き出した。
人の少ない所で殺されるのかと思って止まろうと抵抗したらいつものように笑われる。
「悪い大人が悪いこと教えてあげるよ」
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