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イントロダクション:01
それを、人は幸せな結末と言うのだろうか。
友のために命を散らした――その人生を。
「…………っ…」
言い表しようのない強烈な不快感と共に、意識が戻ってくる。
強烈なそれに負けて、思わず膝から崩れ落ち、吐き気を抑えるように片手で口元を覆った。
意識が遠のきそうなほどの不快感を落ち着けようと何度も深呼吸を繰り返せば、徐々に体も心も落ち着いていく。
やっと回復してきた調子に安堵を覚える――けれど、それと同時に今自分が覚えた不快感に対する不満も覚える。
致し方のないこと――ではあるけれど、よくよく考えるとどうしてあの結末に納得しなければならなかったんだろうか。
胸に、ムカムカとしたものが湧き上がる――が、それは不毛。
だってこれが「最良」の結末だったんだから――この「物語」にとっては。
読み手が、登場人物が、なにを思おうと、書き手が決めたその結末が最良――揺るぐことのない結末。
そして、その「結末」に向かって物語が進むように働きかけるのが――私の役目、である以上は。
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