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その5.Round1 さや×とも 独占欲判定開始!
「緒美。私はずっと、君のことが好きだったんだ!」
その姿はまさに、男装した女優さん。とても情熱的な告白をする明穂。けれど、緒美は涼しい顔で受け流す。
「ふーん。それで?」
「私と、付き合ってくれないか?」
「そう」
なし崩しではあるけれど、明穂と緒美は、ラブロマンスを演じることになった。簡単には落ちないわと、緒美は宣言する。
見た目だけは凛々しい系の美人と、優雅なお嬢様と言う組み合わせは、中学生とは思えない本格さ。
「ふふーん。なかなか悪くないんじゃないかなー。このカップリングは」
余裕綽々な沙弥。
「うん。大丈夫。このくらいなら私、嫉妬なんてしないよ」
智夏も、取り乱したりはしなかった。
「言葉だけじゃ嫌よ。私のことが好きなら、行動で示してみせて」
「……」
緒美は両腕を広げ、明穂は戸惑いながらも近づいていった。
(む……むむ。近い)
(ハグ……くらいなら、まだ)
やがて明穂と緒美は、ぴたりと密着する。
「私のどこが気に入ったの? 詳しく教えてもらえないかしら?」
「いっぱいあるよ。例えば、ふわふわでゴージャスな髪とか」
明穂は、緒美の髪をくるりと指先で巻いてみた。
「猫のように、気まぐれなところとか」
外見だけじゃない。こんな、沙弥のしょうもない悪巧みに付き合うところとか。
「そうなの?」
「他にも。……ひゃっ!?」
「ふふふ。あなた、首元が弱いのね。隙あり、よ」
緒美は突然、明穂の首元にキスをしていた。不意打ちだった。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
「ちょっと! 何してるのっ!?」
同時に、沙弥と智夏は目を見開いて、叫んでいた。キスをされた明穂はショックで呆然としていた。
「ふふ。他愛もないわね」
「し、しまった!」
「あぅ……」
沙弥と智夏、自滅!
「うぅ……」
明穂はタコさんのように柔らかく脱力。勝負は引き分けだった。
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