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やがて森へ入るころ嵐が止み、長老の木霊の声が響いた。
「よくぞ心臓を持ち帰った」
森へ捧げるため、ライオンが心臓を土に埋めた。
「僕を殺して、一緒に埋めてください」
そう言ったクマの涙がその土に落ちた。
すると突然そこが光り、メリメリと凄まじい音が轟いて、天を衝くほどの大樹がたちまち生え伸びた。
その幹はどくどくと脈動し、心臓のように地下の水を天の頂へ還して、天からの光を地上へ運んだ。
森のものは皆、それを見上げていた。
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