0人が本棚に入れています
本棚に追加
第二十八章 晴天の霹靂
「ね、亀井くんちょっと。」
奥井先生に呼ばれた亀井先生が、アキヒトを促して挨拶に行く。
「先ほどは、スミマセンでした。」
亀井先生が頭を下げ、アキヒトもあわてて
「スミマセンでした!」
と謝った。
奥井先生は、
「気にしなくていいよ。こっちも落ち度があるんだから。」
と言って、ちらりと大迫を見た。
彼は目を伏せたまま顔を上げない。
「そんなことより相談があるんだけど。」
奥井先生が、亀井先生に近づくと声をひそめ、
そして少し黙ったあとで口を開いた。
「この子、預かって欲しいんだけど。」
「え?」
「は?」
「へ?」
亀井先生とアキヒトとハルカさんが同時に声を上げ
顔を見合わせてから、
奥井先生の目線を追った。
4人の視線の先には、
うつむいたままの大迫の姿がある。
「大迫くんを来月から預かってくれないか。」
奥井先生がもう一度そう言うと
三人は大迫から視線を外した後で、顔を見合わせた。
それぞれの顔に困惑の表情が浮かんでいる。
亀井先生が黙っていると
奥井先生は彼を見て、穏やかな顔で微笑んだ。
「この子、ずっと亀井君の店に憧れてたみたいでね。
是非修行させてやってほしいんだよ。」
その言葉にはウソはなさそうだった。
“どういうことだよ!散々先生の悪口を言ってたくせに。”
とアキヒトは思い
大迫を睨みつけるが、彼はけっして目を合わせようとはしない。
重苦しい沈黙の時間が続いた。
恋して天使?それとも悪魔? VOL12へ続く♪
最初のコメントを投稿しよう!