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第四章 見送り
「じゃあ気をつけて帰ってね。」
ハルカとアキヒトは新大阪駅の新幹線のホームまで
望を見送りに行っていた。
「だいぶ切っちゃったからキープが難しいかもしれへんけど
困ったらいつでも言ってよ、福岡のいい美容師さん紹介するからさ。」
「ありがとう、その時はよろしくね。」
望はにっこりと笑った。
太陽のようなスマイルだった。
「あのさ、カイトは不器用で、優しいとこと勉強できるとこしか
取り得が無いけど、あいつは本当にいいヤツだからさ。」
アキヒトは望に向き合って、頭を下げた。
「アイツの事、頼むな。」
「アキ君。」
驚いたような、困ったような顔で彼女は言った。
「アイツ、お前の事本気だよ。
俺と違って望の事しか考えられないヤツなんだ。」
「・・・・・・。」
「だから、俺ができなかった分も、望を幸せにしてくれると思うから。」
望は一旦下を向いた後、
顔を上げる。
一瞬間があいたあと、大きく頷いた。
いい笑顔だな、とアキヒトは思った。
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