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第五章 種まき
「さ、これからが本番やで。」
望を見送ったあとそう言うと、ハルカはアキヒトの携帯を借りて
自分の映った写真をカイトあてにラインで送った。
<いま望が新幹線で帰っていったよ。>
<何でハルカさんの写真を送ってきたんだよ>
<ごめん、ハルカさんに送るつもりで間違えた。
写真見てたらハルカさんに会いたくなってさ。>
<こんな未練たらたらのライン、送るつもりだったんか?>
<望さんとよりを戻すんじゃないのかよ?>
立て続けにカイトくんからラインがやってくる。
火に油を注いだら、まんまと引火した。
そんな感じだった。
しめしめと思いながら続きのラインを送る。
<望は望、ハルカさんはハルカさん。別物だろ?>
<兄さんそんなんだから振られたんだろ、
望さんを何だと思ってるんだよ!>
<勝手知ったる元カノ>
<最低だな>
ラインの応酬で上手くカイトくんを怒らせることができた。
これで彼が、望ちゃんにアクションを起こしてくれたら
こっちのものなのだが。
「上手く行きますように!」
アキヒトと二人で神様に祈るハルカだった。
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