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第七章 秘めた情熱
兄から送られてきたラインにイラつきを隠せないカイトは
「ちょっと出かけてくる。」
と母親に言い残し、家を飛び出した。
新大阪からなら2時間半くらいだろうか?
今から出れば彼女の帰りに間に合うはずだ。
「行ってらっしゃい。」
珍しく母親が彼の行き先を詮索せずに送り出してくれた事に
気付かないカイトは、そのまま小倉駅へと向かう。
駅の新幹線口に到着して時計を見る。
まだ30分はありそうだったが、
彼女とすれ違うのが嫌なので
そのまま改札の前に立ち、ペットボトルのコーラを飲みながら
彼は望さんを待ち伏せしていた。
“俺は望さんに会ってどうするつもりなんだろう。”
ふとカイトは我に返って、自問自答する。
兄さんと復縁するつもりになったのかを尋ねるべきなのだろうか?
そして兄さんは望さんを利用していると言う?
もしくは付き合ってくださいと告げる。
・・・・・・いや、この間の事を謝り、好きだと告白するほうが先か?
どうにもこうにも考えが煮詰まるばかりで、
頭から煙が出そうになる。
でも早く彼女に会いたくて、顔が見たくてどうしようもなかった。
この間までは、ほのかな片思いだったのに
今は胸の中で熱い感情が燃えている。
こんな事は、17年生きてきた中で初めてのことだった。
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