0人が本棚に入れています
本棚に追加
第八章 特別なおみやげ
望は新幹線の中で、コーヒーを飲んでいた。
新山口を過ぎて、関門トンネルを越えると、
もうすぐ到着する旨のアナウンスが響く。
彼女はカップに残っていたコーヒーを飲み干して
降りる準備をした。
明日からまたお店、頑張らなきゃねと思いながら
カイトくんの顔を思い浮かべる。
時間はかかるかもしれないけど、
ギクシャクした関係を取り戻すための一歩として
彼女は彼のためにお土産を買ってきていた。
たこ焼きの形をしたパスケースだ。
カイトくんの真面目なイメージと可愛いパスケースに
ギャップがあって面白いんじゃないかと思って
セレクトしたものだ。
男子が持つのは恥ずかしいかもしれないけど、
これを喜んでくれたなら
自分への気持ちにも確証が持てそうな気がしていた。
忘れ物が無いかを確認をして新幹線を降りる。
大阪に行って、アキヒトとハルカさんに会って良かった。
前向きな気持ちになった望は、
なんだかウキウキしていた。
最初のコメントを投稿しよう!