第一章 バッドモーニング、グッドモーニング

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第一章 バッドモーニング、グッドモーニング

朝一でハルカの自宅のチャイムが鳴った。 ドアを開けると、憔悴した顔のアキヒトが立っている。 「どうしたん?休みだからゆっくり来ればいいのに。」 と眠い目をこすりつつハルカが言うと、 彼はなんだか複雑そうな顔をした。 「俺すっかり忘れてたんですけど ハルカさん、男なのに望と二人きりにした事を 家に帰ってから思い出しちゃって、 もうそれから一睡も出来なかったんです。 で、ちょっと早いかなと思ったけど、来ちゃいました。」 恥ずかしそうに言う姿が、情けなくて可愛い。 「昨日は熱い夜を過ごしたから 望ちゃんまだ寝てるよ。静かにね。」 いたずらっぽく人差し指を唇に当てて言いながら 彼を招き入れると ハルカは挽き立てのコーヒーを出した。 「ねえ、焼きもち妬いてるの?」 「だってハルカさん、可愛いだけじゃなくて カッコいいとこもあるからさ。」 だから男にも女にもモテるんじゃないか?なんて、 カワイイ事を言う。 望が居なければ、押し倒したいくらいだった。 ニヤニヤしていると彼女が起きてくる。 「あらアキ君、何しに来たの? ハルカさんはもう私のものよ。」 「コラ!望!」 笑いながら言う望にからかわれて 怒ったふりをしているが、 アキヒトはなんだかホッとした顔をしていた。
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