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プロローグ
【追憶】
僕は16歳…
名前は「巧」(たくみ)
幼い頃の家族の記憶は父親の大きな背中と…
母親が優しく抱きしめてくれた温もりだけだった。
僕は3歳の時からおじさんと暮らしている。
何故、両親と暮らしていないのか?
僕自身わからなかった。
おじさんの仕事はブティックの経営でかなり個性的なアンティック衣装を販売している。
そんな個性的な衣服も…
今は…
国で決められた規則により限定され…
衣服の形、原色は限られたものとなり…
おじさんがブティックで販売している、ほとんどの衣服は家内用であり…
外出特に他人と接する時は禁止となっていた。
そんな事から、訪れる客は激減し経営が難しくなっていた。
おじさんは、それでも僕を育ててくれた。
そして今、僕は高校に通い…
平凡な生活を送っている。
そんな僕の身体に異変が現れたのは…
この国が「完全支配制」になり…
国民は国の代表にマインドコントロールされている事に…
僕が気付き始めたからだ。
そして16になった僕は…
父親、母親の存在と…
この様な世の中になった背景を僕は知るよしも無かった。
この国は国民に規制をかけ「自由」を奪い…
僕は、国民に国が規制をかけた事など語ることは出来ないが…
幼い頃の想い出が…
それは、家族…父、母と笑顔で暮らし…
楽しかった事…
僕は父親の大きな背中を見て育ち…
仕事に誇りを持ち家族を養っていた…
父親に僕は憧れていたこと…
そんな情景が日に日に僕の脳裏に蘇るようになっていた。
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