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1.
【情景】
僕がおじさんと暮らすようになって…
日に日に成長していたが過去の記憶が頭の中から抜け落ちていた。
そして、10歳を超えた頃…
僕はおじさんに聞いてみた…
「おじさん…」
「僕はどうしておじさんと暮らしいるのかなぁ?」
すると、おじさんは…
「俺がおとうさんじゃあだめか?」
「そうじゃ無いけど…」
僕はそれ以上の事を聞く事が出来ず…
「巧、もう少し大きく成れば…」
「分かるようになる…」
おじさんはそう言うと、僕に微笑み大きく頷き…
僕の頭を手で軽く触れ…
納得させるように…
言い聞かせた。
それでも僕は過去を思い出そうと考えると…
それを拒絶する様に…
激し頭痛が僕を襲い断念していた。
しかし…
この国が「完全支配制」になり…
総理の独裁政権に僕が気付き始めた時…
僕は16を迎え…
ある日を境に意味不明な情景が断片的に夢に現れるようになってた。
それは…
地下の穴蔵に身を潜め、息を殺し地上の風景を黙認していた。
地上の風景は…
何体ものゾンビが徘徊し食糧となる人間を探していた。
すると何処からか…
「ギャー!」
凄まじい声…
断末魔が聞こえ…
血だらけになったゾンビが現れた…
ゾンビは口を動かしながら徘徊している。
口に肉片がこびり付きもの凄い醜態であり…
僕は目を閉じ顔を伏せた。
このような夢を幾度と観るようになり…
何故か?
ゾンビの夢と…
青い空、青い海が眼下に広がる情景が脳裏に過ぎる。
内容は…
海底に漂う物体…
それは海藻なのか?
それを眺めてる僕…
しかし、僕自身も海藻のような物体になってしまうのかと?
それを拒絶するため僕は海底で踠いている。
16になった僕は…
このような夢、脳裏に描かれる情景を観るようになっていた。
僕はこの夢、情景に違和感はあったが…
しかし、何故か懐かしく運命的なものであると…
感じていた。
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