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第二章
あっさりと大病院だということを肯定され、私の頭は混乱していた。
「は!?え!?えぇ?!」
ニコニコと狛は笑っているけど、冗談には聞こえなかった。
「あ!そうか!そういうことね!!」
これなら・・・うん。そうに決まってる!
「お父さん!」
お父さんと呼ぶことにはもう完全に慣れてしまっていた。やっぱり体は覚えているということを実感する。
「私に婚約者なんていないよね!?いたとしても、あの3人じゃないよね!?」
早口で天楼にまくし立てた。
「いや、婚約者はいる。直に婚約者と名乗るさ。苺楼の幼なじみだからね。」
は?私の・・・幼なじみって、あの3人なんじゃないの!?それじゃ・・・
「それじゃ誰かわかんないじゃん!?」
「ココが苺楼の部屋だよ。メイド達は入らないよう言ってあるからね。何かあったら呼びなさい。」
お父さんは私が眠っている間ずっとそばに居たようで仕事が溜まっているらしく、これ以上休む訳にはいかないらしい。
「あ、苺楼!お邪魔してま〜す。」
扉を開けて最初に声をかけてきたのは狛。
「おい、苺楼が困るだろう。」
狛の肩に手をかけ呼び止めたのは実月。
「まぁまぁ♪そんなカリカリしないで♪仲良くしようよ♪」
笑顔で2人の間に入ったのは杏治。
私はとりあえず、扉を閉めた。
(えっと、人呼ぶにはどうしたらいいのかな?)
「ちょ、苺楼!?なんで閉めるのさぁ!?」
「そうだよ♪ひどいよ〜♪」
「しょうがないだろ。婚約者の俺がいたんだから、照れ隠しだ。」
狛、杏治、実月の順にドタバタと扉を突き破り流れ込んできた。
あと、照れ隠しではない。
「は!?実月!?婚約者は俺だ!!」
「ふぇ!?えぇー!?僕でしょー?」
まだ、揉めていた。
この3人で勝手に揉められても困るし、私自信誰のことも覚えていなければ、婚約者がいた事すらも覚えていない。
「おい、そんな理由じゃないだろ。」
「あ、そ〜だった♪」
「わ、忘れてた。」
3人の揉め合いがパッと終わった。あんなに揉めていたのに実月の一言で落ち着いてしまったのだ。
「え、なんのために・・・来たの?」
「今日はね、自己紹介の続きに来たんだぁ♪」
ちょっと失礼して、3人の紹介を挟ませて頂きます。
「僕は霞狛♪KASUMI病院の跡取り息子♪双子の姉がいるんだけど・・・まぁ後でいいよね♪実月と杏治と苺楼とは幼なじみ♪ボサボサ頭は狛って覚えてね♪好物はたこ♪味しないって姉さんには言われちゃったけど♪」
「俺は狂花実月。まぁ、狂花財閥の跡取りとなってはいる。苺楼となら跡を継ぐつもりでいる。誰かわからなければメガネが実月とでも覚えてくれ。あと、神経質なほうだ。」
「俺は時東杏治!時東組のまぁ坊ちゃんって言ったら簡単かな?ま、いっか。杏治はピアスな。日によって変わるけど、とりあえずピアスで覚えてくれ。好物はポテト。あとは全体的に雑かなぁ。」
「あ!大事なこと忘れてた♪」
「そういや俺もだ。」
「えー、まだ俺も1つ言ってないのにぃ。」
「俺(僕)は、苺楼の婚約者だ!!」
ハモった・・・誰が本当のこと言ってるの?誰が嘘なの?わからない。わからない!!
「あれ?実月好物言ってなくない?」
「あ、本当だな。」
「えぇ、いるのか?それ。」
「いる!!」
「こ、好物は白米だな。あれは美味しい。」
実月の声はかろうじて聞こえてはいた。でもそれどころではなく、苺楼の頭は混乱していたため、そのまま寝ることになった。
苺楼を困らせたくないらしく、3人とも素直に帰っていったところをみると、本当は3人とも婚約者なのでは?と思えてきたのが恐ろしいところだと思う。これがイケメンの力・・・
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