リリーホワイト

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 信じられないというふうに、彼女が目を丸くした。その瞳の中に必死な顔してる自分が見えた。やっと、彼女の瞳の中にオレが映った。  ・・・こんなことして、何になる?  どこか冷静な自分が俯瞰的に今の状況を見ている。オレも、ヤナちゃんも、失うものが大きい。大き過ぎる。  分かってる。  でも、今は。  心臓が壊れるんじゃないかっていうくらいに痛い。それくらい脈拍が早くなっている。このままバラバラになって、彼女にまとわりつくことができたらどんなにいいだろう。一瞬考える、馬鹿みたいな妄想。  ここまで来たら、もう手遅れだ。  目の前のヤナちゃんが何か言葉を紡ごうとするけどそれを塞ぐように唇を重ね合わせて、どこかで見た大人のキスの真似事をする。  大きく見開かれたヤナちゃんの瞳の中に、オレが映る。  オレだけ、今は、映ればいい。
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