愛の果て

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いつもと変わらない道。いつもと変わらない匂い。いつもと変わらない風。代わり映えのない毎日に私は退屈していた。いつもと変わらない信号で足を止め、いつもと変わらない考え事をする。昔は旅をするのが好きでいろんな場所を駆け巡っていた。特に海辺の道路を走るのが好きで月に何度か訪れていた、らしい。実は、私には昔の記憶が無い。ある事故がきっかけでそれよりも前のことが思い出せなくなってしまった。だが、別に思い出さなくてもいいと思っている。忘れてしまったということはそれほど重要なものではないのだろう。だから今は旅などほとんどしない。たとえ記憶があったとしても、いつかは飽きてしまうだろう。誰しもそうだ。私に限ったことではない。
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