気弱な僕の買い物の話

1/1
前へ
/1ページ
次へ
気弱な僕は店頭で注文が間違って伝わってもしても訂正に躊躇してしまう。 その結果、間違った注文のまま買ってしまったり、食べてしまったりする。 僕の伝えた方が悪かったのか? 店員さんが聞き間違えたのか? 僕が伝え間違ったのか? 店員さんが勘違いしたのか? そんな事を考えると頭がグルグルとして、波風を立てない選択をしてしまうからだ。 そういう意味では自分で注文を選べる券売機やネットショッピングは便利だと思う。 あくまで自分の操作の問題や勘違いでしか間違った注文や商品は来ない。 僕のような人間には便利なシステムだ。 だけど券売機やネットショッピングを利用していると全ては自分の責任。 間違いやミスも全て自分。 そう考えると恐ろしくなった。 自分の判断が全てを左右する正解も間違いも。 本当にこれは正しい選択なのか? 見落としている点はないか? 勘違いしていたりしないか? また頭がグルグル回り始めた。 だから僕は人のいる店を選ぶ。 伝え方が悪くて間違えられる事もある。 間違えて伝えてしまう事もある。 聞き間違えられたり、勘違いされる事もある。 でも人間だからしょうがない。 そんな事が切っ掛けで会話が弾む事もある。 それに全てが操作だけになってしまう券売機やネットショッピングはどこか冷たい感じがする。 「注文しますか?」 という表示の向こう側には人はいない。 ただデータが流れ処理されていくだけだ。 そして僕は少し手間だけど買い物に出かける。 本当の理由はもしかすると人との接点に飢えているのかもしれないと感じて閉口しつつ。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加