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その後、通訳が語った言葉に日本人メンバー全員が、再び言葉を失った。
「あのガイド達が私にさっき話してくれた。今、皆さんが回収したカメラが設置されていた場所よりもっと奥地にトラやサイが多数生息している場所を知っている。そこの方が、確実にカメラに撮らえることができる。調査も捗るだろうと。明日、その場所まで案内する。その代わり、案内が終わったら、村に帰る。そう、彼らは言っている。皆さん、どうしますか?」
黙り込む日本人メンバー達。
お互い、チラチラと目配せするものの、なかなか誰も口を割る者はいなかった。 リーダーの飯田も先ほどまでの剣幕は消え失せ、下を向いて考えあぐねている素ぶりであった。
嫌な空気が支配した。
遠方から聞こえてくる、甲高い鳥の鳴き声がいつにも増して騒しく耳を襲った。
嫌な時間程長く感じるものだ。
リーダーの飯田が、ようやく口を開いた時には日本人メンバーだけでなく通訳やガイド達にも一瞬、安堵の表情が浮かんだ。
「いいだろう、その条件を呑もう。ただし、お前たちに渡す報酬は当然、最初に交わした契約の条件の半分にさせて貰うが、異存はないよな?」
飯田の少し上から目線の発言に、無言でその視線を跳ね返すかのように鋭い視線を送ってくるガイドと通訳。
通訳がガイド達の耳元で何か囁いている。
そして、直ぐさま飯田の方に向き直った通訳が口を開いた。
「はい、報酬は半分でも構いません。ただし、こちらからも条件があります。」
通訳は臆せず、飯田の目線を撥ね付けるかのように言い放った。
「何だ?その条件って?」
少し、眉を吊り上げた飯田が表情を曇らせながら聞き返した。
「そのトラやサイが多く生息している場所は、古来より神聖な土地とされてきた為、我々現地の人間も殆ど近づく者はいません。そして、その土地には我々とは違うより原始的な昔ながらの生活を続けているある部族が暮らしています。ただし、彼らは非常に好戦的です。通常の方法で侵入した場合、必ず襲ってきます。」
飯田を始め、日本人メンバー全員の顔に動揺の色が浮かび上がった。
再び、通訳が話し始めた。
「でも、大丈夫。彼らが侵入を許してくれる方法があります。
ある儀式を行えばいいのです。
その儀式とは………、何か『生贄』を捧げればいいのです。」
通訳は、表情一つ崩さず平然と、その悍ましい言葉を日本人メンバーに告げた。
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