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ズズズンッ!!!
ドスンッ ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ
地響きは下からではない、地上からだ。
何かがゆっくりと巨大蟻地獄に近づいてくる。
「な! 何だ!? 何だってんだ?!」
訳もわからず、蟻地獄内であたふたする鶴見。
その声と地響きも手伝ってか、飯田が目を覚ました。
だが、目の前の巨大芋虫は一瞬、その大顎を動かすのを止めたもののさほど気にすることもなく再びあの西洋人の亡骸を食べ始めた。
うっすらと見える食道や胃などの消化器官をその肉片が通過していくのが嫌でも目に入る。
その悍ましい光景に再び目を覚ました飯田が恐怖に引き攣った表情のまま凝視している。
鶴見も同様だ。
しかし、その間も地響きは蟻地獄にどんどん近づいて来ていた。
これほどの地響きを生み出すほどの生物がこの世にいるものだろうか?
鶴見の脳裏に一瞬、そんな疑問が浮かんだ。
だが、その疑問の答えは自ずと直ぐに分かることとなった。
ーーーーーー地響きが終わった。
上から砂や石がいくつも落ちて来る。
ちょうど巨大芋虫はあの西洋人の肉片を全て食べ尽くしたところだった。
恐る恐る見上げる飯田と鶴見。
こめかみを汗が次から次へと伝ってくる。
拭う余裕すらない。
見上げた飯田と鶴見の視線の先にいたモノはーーーーーー。
『う!うぎゃああああああああああああーーーーーーーーー!!』
二人がほぼ同時に叫び、ショックのあまりそのまま激しく後ろに昏倒した。
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