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ジウ・イーリンが『せっかくだから祇園を観光したいと思って』と礼を言って部屋を出て行き、ほどなくして梶原秋人の『客人』が、小松探偵事務所に訪れた。
「こんにちはっ」
元気いっぱいに声を上げたのは、二人の少女だ。
「おう、待ってたぞ。迷わなかったか?」
そう問う秋人に、二人は「大丈夫です」とにこやかに答える。
小柄なため、『少女』に見えたが、実際には二十歳前後だろうか。
「はじめましてっ」
颯爽と前に出た彼女たちを前に、事務所にいた清貴、葵、円生、小松は、ぽかんとする。
「秋人さんと同じ事務所で後輩の『紅子』です!」
艶やかな黒髪のおかっぱが印象的で、ミステリアスな雰囲気を持つ美女が言う。
「同じく後輩の『桜子』です!」
続けてウェーブヘアのセミロング、童顔で可愛らしい子が、甘ったるい声で挨拶をした。
その後に二人は、サッとポーズを取る。
「二人揃って――『紅桜』です! よろしくお願いいたします」
そう声を揃えた後に、深く頭を下げた。
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