序 章 『まるたけえびすに気を付けて』

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「可愛い……」  そう洩らした葵の言葉に同調するように、清貴と小松はにこやかに相槌をうつも、円生だけは失笑している。 「いきなり、そのポーズはなんやねん」  そんな円生の不躾な言葉にも、二人は「私たちの決めポーズなんです」と笑っている。  まー、そう言うなよ、と秋人。 「この子たちは、同じ事務所の後輩。アイドルでマルチタレントなんだ。俺にとって大切な妹分つーか」  紅桜は、よろしくお願いいたします、と再び頭を下げた。 「で、こいつは親友のホームズっていうんだ」  と、秋人はいつものように言う。 「ホームズ?」  不思議そうにする二人に、 「家頭清貴と申します。家に頭と書いて家頭なので、ホームズというあだ名がついたんですよ。はじめまして」  清貴はそう言って、柔らかく目を細める。 「……っ!」  そんな清貴を前に、紅桜は揃って頬を赤めた。
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