序 章 『まるたけえびすに気を付けて』

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「ところで、今、話に出た神社は、実際にドラマに使われるのでしょうか?」  そう問うた清貴に、二人は「その予定です」と頷く。 「それに、昨日、秋人さんに下見をしようと案内してもらったのは本当のことです」 「私たち、本当に下見をしたいと思ったので」  紅桜の話に、清貴は、そうでしたか、と頷く。 「それは楽しみですね。僕も大好きな神社ばかりです」 「私は、車折神社に行ったことがなかったので気になりました」と葵。 「今度、行きましょうか」 「嬉しいです」  そんなにこやかな二人の背後で、円生が苛立った様子で小さく舌打ちをした。 「――ほんで、結局なんやねん」  円生の迫力に紅桜はびくんと体を震わせたが、秋人は「悪ぃ」といつもの調子で片手を上げる。 「本題はここからなんだ」  その言葉に、「えっ、今から本題なのか」と小松の口から素っ頓狂な声が出た。
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