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「……どうしてですか?」
「『どうがんばっても、俺はお前にはなれない』って気付いたことが最初かな。それに対してムカつくというより、『自分には、どんなにがんばっても決してなれないものがあるんだ』ってことを悟った」
秋人は話しながら、いつものように頭の後ろで手を組む。
「悟った後に、自分にそんなすげぇ友達がいることが嬉しくなった。俺は、お前の考えや力を借りることができる。それってもう俺の一部じゃん」
だろ、と秋人は、屈託なく笑う。
「俺のブレーンはお前だと思ったら、自分の出来の悪さとかコンプレックスとかなくなったんだよ。だから、もし自分にはどうしても解けない課題が来た時は、俺は迷わずにホームズの見解を聞く。そのことにためらいはない。
それは、ホームズという友達がいる俺の力だと思ってる」
そう言って、秋人は清々しい顔を見せた。
そんな秋人を前に、清貴は何も言わない。その表情はどこか愉しげだ。
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