序 章 『まるたけえびすに気を付けて』

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「なんだよ、黙り込んで」 「……あなたには、時々、驚かされますね」  そう言って、清貴は息を吐き出す。  葵も「本当ですね」と愉しげに頷いている。 「まさに、ホームズさんの言っていた、補い合うということですね」  こうして寄り添っている清貴と葵の姿は、婚約者を通り越して夫婦のようだ。 「どうせ、迷惑だと思ってるんだろ?」  横目で見る秋人に、清貴は、ふっ、と頬を緩ませる。 「それは否定はしませんが……」 「否定しろよ!」  間髪を容れずに突っ込む秋人に、清貴と葵は笑った。  円生もそっと口角を上げている。
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