Introduction

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「ほらほら、円生、僻むなよぉ」  今度は秋人に無遠慮な言葉をぶつけられて、円生は舌打ちをし、清貴の方を向く。 「せやけど、そんなスーパーお嬢様に頼られるなんて、ホームズはんはほんまにすごいんやなぁ」  嫌味を言い続ける円生に、清貴は小さく息をついた。 「円生、お客様に失礼ですよ。すみません、イーリンさん」 「ううん、大丈夫よ。そして私のことは、『イーリン』でいいわ。私もあなたのことを『ホームズくん』って呼ばせてもらうから」  清貴は、分かりました、と秋人の隣に腰を下ろし、葵と並んで正面に座るイーリンを見た。 「それで、僕に何か? もしかして菊川史郎と何か?」  するとイーリンは、露骨に嫌悪の表情を浮かべる。 「あの男の話はもうやめて。あの件以来、縁を切ったわ」  清貴と葵は、えっ、と目を瞬かせる。 「あれから、父のことも利用しようとしていたことが分かったのよ。今となっては、どこにいるかも分からないわ」 「それは賢明ですね」と清貴は頷く。 「ホームズくん、今回、あなたに依頼したいのは、鑑定の仕事よ」 「鑑定の?」  その言葉に、清貴の目に光が射したのが見て取れた。  葵も、その言葉が意外だったようで、驚きの表情を見せている。 「イーリンさんは、『鑑定士』としてのホームズさんにご用だったんですか?」  葵の問いに、イーリンは「ええ」と頷く。
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