負けられない戦いがここにある。

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現代。 「もぐー。」「もぐー。」 彼らは東海辺りを境に住みわけ生きわけていた。 度重なる不毛な領土争いは夥しい数のミミズ死体山を築き土地を肥やしていった。 そして彼らは気づいたのだ。 大陸もぐらは気づいたのだ。 俺ら数万年かけてもほとんど進んでなくね?と。 そして大和もぐらも気づいたのだ。 てかほとんど出会ってなくね?と気づいたのだ。 実際彼らと彼らの間にほとんど直接的な争いはなく、本当に彼らにとって大敵であるのは人と環境。 そう。 結果に感情はついてこない。 経過に感情は影響を及ぼさない。 それが生存競争という名の負けられない戦い。 悠久の時というマクロな視点では、負けられない戦いなぞない。 あらゆる偶々が積み重なり、結果となる。 悠久を前にして、刹那の感情は意味をなさない。 では、人は? まるで神のように振る舞い、自らを神の化身として崇め奉る我ら人はなぜ負けられない戦いを続けるのだろう。 マクロで見れば全ての戦いに意味はないのだろう。意味のない行為なのだ。 この世で一番賢い素晴らしく美しい、輝ける生物。我らが人は・・・。 この世で一番愚かで醜く汚ならしい生物。 ならば、虐げられる弱き者は諦め死ねばいいのだろうか? それはまた違う。
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