不快な日は災難の始まり

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……とか朝イチに決めたハズだったんだが、呆気なく決意は破れた。 「嘘だろォ…」 都心の勤務先から自宅へ向かう経路をバイクで突っ走っていたのだが、ふいに飛び出してきた「物体」を避けようもなく轢いてしまった。 車体に残る、なんとも言えない生々しい「轢いた感触」がいたたまれなくて、溜息しか出てこない。 「カエル轢くとか…仏滅かよ」 ええ、それはもう勢いよく「ブチッ」と轢きましたとも…。 ここは都心のど真ん中、Non農道。 なぜコンクリの道路に居た? 手足はよく分からないが、ショッキンググリーンでまるっとしたフォルムは、まさにカエル。 カエル轢くとか、まさにジメジメ祟られそうで嫌だ。 見事にぺっちゃんこなソレは、内容物は漏れていないようだが小刻みな痙攣を繰り返している。 「…いきもの…だよな?」 轢いた物体をつまみ上げて目視していると、ふいに少し持ち直したらしいそいつの真円の大きな目と視線が搗ち合う。 「…動物病院、高価(たか)いんだよなぁ」 某不動産マスコットに酷似している小動物(仮)。形はリスかハムスターのようだが、薄緑色をした緻密な毛皮(?)に覆われているソレは、今にも死にそうな声で小さく「みい」と鳴いた。 「とにかく帰るか…」 コイツどうしよう…とは思ったものの放置するのも気が咎めたので、とりあえずコートのポケットに保護して再びバイクに跨った。
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