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いつも通り帰宅するとそこには……
なんか白い二足歩行型のロボットがいた。
あと妹もいた。
「お姉ちゃんおかえりー」
「た........は...?」
私に背を向けていたロボットが私を認識するために、電子音をならしながらこちらに振り向いてくる。この状況でただいまなんて言える程の余裕はなかった。妹は1人で帰宅してきた時なんとも思わなかったんだろうか。
私は、瞬きを忘れてロボットに歩み寄り、今日こんなのが家に来ると言うような話があったっけ、?と記憶をたどった。
「ロボットだよね?」
「うんそうだよ、ソルティーくん」
何故かどやり気味に妹はそのソルティーくんを紹介してくれた。いや、ペッp……のパクリでは?あとさっきの緊張感を返して欲しい。そして玄関入った時の薔薇の匂いはなんだったんだ。
気になって玄関に戻ってみたが、もうその香りはしなくて、いつものようにうさぎの餌と灯油の匂いがかすかに漂っているだけだった。
「お姉ちゃん、このロボットなんなの?」
そうか、妹も知らなかったのか。
「知ってたらこんな戸惑ってないよね」
「それもそうだわ。」
さっきから全く喋らないけど、このロボットの機能はなんなんだろう。
プルルルル....
電話の着信が聞こえる。なるほど、もしかしたら家電とかスマホと接続したら便利なやつのちょっと体積無駄にとっちゃったバージョンかもしれない。
「もしもしママ?」
いや普通にスマホの電話かよ。まぁそうだよね、確認したいからね。
ロボットを見ると、顔には丸に近い形の画面がついている。底なしにくり抜かれたような目と口が表示されていて縁がレインボーに光り、滑らかに表情を変化させていた。胴体にも別の四角い液晶がついていたが、画面は真っ黒だった。触っても変化はなかったし、スイッチらしきものはあったが別に急用もないので無闇に触らないほうがいいだろう。
「ああ、まともに話す時間なかったね、置いといて〜あとで話すから」
妹のスマホからワイヤレスで聞こえてくる母の声は、さも大したこと無いというような口調だった。大したことないのか...?いや、大したことあるでしょ、あれ、大したこと無いのかもしれない。と考えていたら、
「まいねぇちゃんはバレエでしょ、お母さんもう会社出るからすぐ行けるようにって言っといてね」
「りょうかーい、じゃーねー」
と妹が電話を着ると同時に日常に引き戻され、よく考えたら大したことないわ。と考えを固め、バレエの準備を始めた。
私のバレエ教室はもうすぐ春に、発表会を控えていた。
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