らっきぃすけべ、は、イチゴ柄

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きっちり整えられた髪型。 余計なシワひとつない服装。 完璧な佇まい。 学校一厳しい、我が校の風紀委員長。 そんな『彼』のズボンを俺は今、脱がした。 「え゙」 「?」 もちろん、互いに合意ではない。 というか不可抗力。事故だ事故! ……まず俺より数メートル後ろのやつがすっ転んだ。 そいつが『うひょぉぉっ』とか変な叫び声上げて、一つ前の奴にぶつかった。 ぶつかられたのは、陸上部の上野さん。 彼女はちょうど隣にいる友達に、ハンマー投げについて熱く語っていて。 その勢いで持っていた鞄を、まるでハンマーみたく投げ飛ばした。 ひゅううううんっ、と飛距離を伸ばしたであろう鞄。 重たいプロテイン入の(それ)。 ―――俺の頭にクリティカルヒット! 『ひでぶっ!』とか何とか叫んで、つんのめった先。 ……それが風紀委員長、の尻だ。 突然なものでさ、俺だってビックリしたんだ。 倒れ込んで、冷たい床にディープキッスするのも嫌だったしな。 そりゃ当然、なんか掴むよな。 ……それが風紀委員長、のズボンだ。 「え゙、あ゙、あの」 「?」 ―――しぃぃぃん。 時が凍りついて止まったかと。 あんなに休み時間の、賑やかな廊下でだぜ? 特殊能力でも得たのかと、一種思った。 少し見上げれば、彼の尻。 しかもその、ぷりっとしたハリのある丸みを包んでいたのはイチゴ柄。 女子中学生さながらの、可愛さ満点イチゴ柄パンツ。 ……あー。可愛いパンツ、そして良い尻してんなぁ。 尻フェチの俺にはたまらない。 男の尻だけど。 「???」 最後までキョトンとしてたのは、風紀委員長だけだった。 異様な静けさに小首を傾げて、辺りキョロキョロして……それからゆっくり、自らを見下ろす。 「ど、どーも」 床にへばりつき、右手には彼のズボンを握りしめた俺。 バチッ、と目が合う。 その秒数、1、2、3、4……。 「うわぁぁぁぁぁッ!?」 「す、スイマセェェェェンッ!!」 彼は、叫ぶ。 俺は、謝罪の言葉を叫ぶ。 ―――これが、俺とあいつ(風紀委員長)との互いを認識した最初だった。
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