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プロローグ 4時44分に目覚める男
これで何回目だろうか……この時間に目が覚めるのは……。
暗い部屋で目を覚ました男は枕元に置いてあった充電中のスマホを付けた。液晶のライトが眩しくて歪めた眉は時刻を見るとより一層歪む。
AM 4:44――最近何故か毎日のようにこの時間に目が覚める。目覚ましをセットしているわけでもないのに、寸分の狂いもなく決まってこの時間。
朝日が街を照らすのもまだ少し先、男が本当は起きるつもりである時間は午前6時なので二度寝するのも煩わしいと感じるような時間だった。それゆえ、男は自分の体にできてしまった変な癖に大変迷惑していた。
男は自室のベッドの中で上手いことあと1時間だけ眠れないかと目を閉じながらも、数分経てばベッドから下りて顔を洗いに行く。早く寝ても遅く寝ても、起きる時間を変えることはできなかった。男は仕方がないので、4時44分に起きた場合は静かな早朝をコーヒーでも飲みながら適当に過ごすことにしている。
今日は、ゴミを捨てに行く日なので早起きできて良かったかもしれない。
4と言えば死と読めるということで不吉な数字だとみなされることもあり、それが並ぶ4時44分は何か悪い予感を感じさせる。そう思う人も世の中にはいるだろうが、男はまったく気にしていなかった。
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