第三章

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 シザはまっすぐにセリを見た。 「では、はっきり言おう。私は、きみがいなくなるのが怖い。きみを失うのではないかと思うと、不安でたまらなくなる」  嘘偽りのない本心だった。ここで嘘を言っても意味がない。  セリは一回だけまばたきして、シザの一言一句を記憶したようだった。 「……それが、さっきの感じなんだな。わかった、覚えておく」  それからふたりは、何事もなかったように作業に入った。セリが不平を言うことも、シザが言い訳をすることも、二度となかった。  鎧は問題なしだったので、本作業に入った。  まず、クランクシャフトからポンプをはずした。次に櫓の中にある作業場を外へ移し、外周の作業場とつなぎ合わせて大きな浮体にして櫓に係留した。  それから浮橋の両側にひとりずつつき、浮きを油道管と橋板からはずしていく。  ポンプとの接続を解除すると、むき出しになったベーク材の油道管と橋板は、水中に沈んでいった。  綱で数珠繋ぎになった二本の浮きは、とりあえず櫓に係留しておく。  短い休憩ののち、いよいよカタライに入る。  鎧を着たセリが、潜水してケーシング管を解体する。作業手を使えば、管の接続部分を難なくはずすことができた。あとは根気と忍耐の単純作業だ。  解体した管に、シザが数珠繋ぎの浮きを通して行き、湖上に浮かべていく。
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