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不安
放課後。本当に蓮くんが来た。
「ひなたー、帰ろ」
「う…うん」
周りからの視線を感じながら家に帰った。帰り道、蓮くんみたいなかっこいい人がこんな僕と一緒にいてもいいのか考えていた。友達ってことにはなったみたいだけれども実感が湧いていない。
「なにか、考え事してる?」
「んーん…何もない」
「ほんとに?」
「うん…」
「ほんとは?」
心の中をのぞかれている気分だった。
「大した事じゃないんだけど…」
「うん、なに?」
「僕が蓮くんと帰ったりとか…その…友達とかになったり…いいのかなって」
「あれでしょ、僕なんかがとかって思ってるでしょ」
「うん…」
呆れた様子だったのでちょっと怖くなって下を向いた。
「そんなことない…って言っても信じないだろうな」
それから蓮くんは少し悩んでいるみたいだった。
「じゃあ、ちょっと寄り道しない?」
「え…どこ行くの、?」
「んー、ファミレスでいいかな陽太といろんな話がしたい」
「うん、わかった…」
「お、よっしゃ。じゃあスマホ貸して、お母さんに俺から言う」
そう言って手のひらをこっちに向ける。カバンからスマホを出してロックを解除し、蓮くんに渡した。
「そんなすんなり渡されてもなー、少しは警戒しなよ」
「あ…ごめん」
「謝んなくていいよ」
そう言ってお母さんに6時半には送ると約束していた。
「ありがとう」
「俺のわがままだからいいんだよ、俺以外に簡単に貸したりしたらだめだからね」
そう言ってスマホを返してくれた。
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