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「下田ダムって怖いらしいよ」
「あー、もしかしてお姉ちゃん、噂を信じてんの?」
「信じてはいないけど、薄気味悪いじゃん」
私は普段から幽霊なんていないと言っている。噂話はあくまでも噂。そんなもの幻覚だと思うし、この時代に幽霊を信じる人なんているのか。
「大丈夫だよ、昼間だし、ハイキングとかピクニック気分でさ」
「そっかー。免許を取って車も買ったんだし、行ってみようか」
私はそう言うと、ナビで下田ダムを登録した。今日は平日なので道は空いていた。妹は介護の仕事をしていて休みはまちまちだ。私は昼間はいつも暇をしている。夜はスナックでバイトだが夕方までに帰れればいいだろう。今はまだ11時だ。
「コンビニがあったら何か買って行こうよ。湖を見ながら何か食べよう」
妹が言う。湖とダムの周辺にいいお店があるか分からないし、お昼を買っておいた方がいいな。少し車を走らせると、道の左側に聞いたことのない店名のコンビニがあった。私は駐車場へ車を入れる。妹は「なかなか運転が上手いじゃん」と言って車を降りた。私もエンジンを切って車を降り、キーレスで鍵を掛けた。
店の中は何だか普通のコンビニより暗くてジュースの棚の電気がチカチカしていた。妹はアルコール類が置いてある棚からビールを出すと、3本も籠に入れた。妹は私と1つしか離れてないので成人してるから、お酒を飲むことにとやかく言ったらいけないが、初心者の運転する車に乗るのに怖くはないのだろうか。
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