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暫くナビの言う通り走ると左右に山々が広がって、前方に大きなダムが見えた。ナビが「目的地付近です」と言う。なんだ、心霊スポットだということを知らなかったら普通の綺麗な山にあるダムじゃん。私はホッとした。
「綺麗だねー」
「うん、私、山って大好き」
妹は大きくなったら山に住みたいと言ってるほど森林が好きだ。私はどちらかと言うと新宿とか渋谷とか都会が好きだが、こういうところに来るのもたまにはいい。暫くダムに沿って車を走らせていると妙な看板がたくさんある。読むと自殺を踏みとどまらせるような文面が書いてある。ダムに飛び込む人がたくさんいるんだ。私はなるべく看板を見ないようにダムの周りの山道を走った。
「山野さんの家はダムの脇にあるって聞いたけど、何処だろう」
「えっ、もしかして、知佳ちゃん、山野さんの家が見たいの?」
私は驚いて目を大きくする。
「だって、折角ここまで来たんだよ。それに昼間だし、外から見るだけ」
妹はスマホで山野さんの家の場所を検索している。
「ダムを右手に見て左側に平屋とお墓が有るんだって、ということは向こう側だ」
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