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「行こう」
私はそう言うと、妹は放心状態で墓場を見ている。
「誰か居る」
まさか、有り得る話ではない。私が見た白い顔ももう見えないし、ここは山の中だ。この家だって人が住める状態には見えない。それに、ここに来るには車か何かないと来られない。停まっている車は私が乗って来た外車一台だ。しかもこんな心霊スポットに人が潜んでいるなんてあり得る話じゃない。
「気のせいだよ。さ、行こう」
私は車を発進させた。妹は何度も振り返って後ろを確認していた。
「絶対誰か居たよ、動いたのが見えた」
「目の錯覚だよ」
私はそう言うと山道を進んで、出来るだけ山野さんの家から離れようとした。
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