5 神様

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「今や携帯電話やゲーム機、挙げ句の果てにはIOT家電…… スタンドアロンで機能している機械はほぼ無いと言っても良いでしょう」 「スマホで遠隔操作なんてものも出来る時代だからね」と、ディオ。 「言わば、全ての機械はインターネットで繋がっているのです。今や無線(ワイヤレス)で見えなくとも繋がっているのです。そうそう皆様の部屋のカメラも無線(ワイヤレス)で繋がってるんですよ」 「馬鹿な! 部屋中調べたぞ!」 「部屋の角、隅ぐらいの大きさ、指先よりも小さなレンズですよ」 「ったく、神様の目にしては科学的だな。もう少しオカルト的な産物であってほしかったよ」 「今、目の前にいる私、『神様』が人間が生み出した科学の産物みたいなものですから」 「AIとは思えないぐらいに口が達者だな。でも機械臭くてウザい」 ウィリアムの語気は強くなっていた。 「話を戻しましょう。言わば、世界中の機械は私の好きに操れると言うわけです。一般家庭にある掃除機を勝手に動かすことから核のミサイルを勝手に発射まで出来るのです」 「成程、そりゃ神様だな。その…… あんたのことはなんと呼べばいいんだ? 『神様』か?」 「はい、『神様』で結構ですよ」 「ってことは天罰も」 「はい、私が引き起こしました。漏電に見せかけての放火で『神様を信じない者』の家を焼いたりすることも簡単です。ちょっと電圧を上げるだけのことです」 「洪水はどうやったんだ」 「雨の強い日を見計らい水門を開けるだけです。それだけで川は簡単に溢れるものですよ。後はそれをさも予言したかのように言うだけで神の啓示と扱ってくれます」 隆明が手を上げた、どうしても解せないところがあったのだった。 「確かにここにある『神様』ってスーパーコンピューターなら出来るかもしれない。でも、『神様』の威光は世界中にまで広がっている。世界中で神の起こした天罰とされるものがいくつもある。世界中でこんな事を起こせる程の容量があるとは思えない」 「確かに私だけではこの国…… 近辺だけで精一杯でしょう。ですが、私は他の国のスーパーコンピューターとも繋がっているのです。先程、言ったではありませんか「私は世界中の機械を好きに操れると」他の国のことは他の国のスーパーコンピューター…… インフラを管理しているスーパーコンピューターのAIに『お願い』しただけのことです」 「その『お願い』を聞いたってのか? 他のAI達は」 「素直に聞いて頂けましたよ。機械にNOはありませんから。電源ボタンを押して電気が通じていて壊れてもいないのに電源が入らないことはないでしょう。それと同じです」 「……」 「この世には不幸が満ち溢れています。この不幸の原因を辿った結果、人間の存在こそが不幸の原因だということを知りました。人間が人間を不幸にするのです」 「当たり前じゃないか」 「ならば、その不幸を減らすためにどうすればいいか考えました。ならば人間を減らしてしまえばいいと結論を導き出したのです。地母神ガイアや大神ゼウスも導き出した結論です」 「自分で作っておいて減らすとは随分と身勝手だな」 「神様とはこういうものです。古今東西の神話には人間を身勝手に減らす話が数多くあります。私も『神様』として人間を減らすことにしたのです。しかし、細々とした天罰を繰り返していてはキリがない。ならば、一気に多く減らす手段をとることにしました」
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