5 神様

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「人間ってのは誰かの子供なんだ。その中で生みの母って言うのはな…… 神様のように愛するものなんだよ! それを殺すような真似をして恥ずかしくないのか!」 「私は人間を減らし不幸を減らすと言う『神様』の仕事をしただけのこと」 「このAI、相当出来が悪いな。M9《ベレッタ》が没収されてなかったら、風穴開けてやるものを」 ディオは指で銃を作り、ディスプレイに向かって「バーン」と放った。アスクはその肩をとんとんと叩く「私のために怒ってくれてありがとう」と言っているようであった。 「あなたが『神様』と言うことはわかりました。ならこの募集は?」と、明龍。彼女の内心はどうであれ『神様』となり、この世から犯罪を撲滅したいと言う考えなのだが、これまでの『神様』の発言を聞いてゆらぎ始めているのであった。 「私はご覧の通り、機械です。私のメンテナンスを担当する者達も必要です。外で入力をしている者達はメンテナンスの要員(クルー)なのです。あなた方が選ばれたのはこのような『隔離』された状況でも耐えられる逞しさを持っていたからです」 「単なるメンテナンス募集に『神様募集』なんて仰々しい名前をよくも付けたものだな」 「単なる神格化ですよ」 ムラマサは決定的な矛盾に気がついた。神様の募集は二千年前にも行われているのだ。 なら、二千年ぶりに行われているこれは何なのだろうか。 「このコンピューター、どう考えてもここ数年…… いや、古くても数十年ぐらいだ。二千年前から『神様』やってるわけじゃないよな?」 「これも神格化ですよ。二千年に行われていたと歴史の教科書に書いておけば、世界中の人間は信じるでしょう。実際、二千年前なんかコンピューターすらもなかったのに。何処とも知れない誰かが適当に書いた(呟いた)デマゴギーすら信じるぐらいに素直なのが人間でしょう。『神様』が二千年前に活動していると偉い学者が言ったとインターネット上に書き込めば信じるものです。現に世界中の人間全てが信じているじゃありませんか。その偉い学者も、私が適当に世界中の学者の名前から適当に選んだものですけどね。その論文も私が作り上げたものです」 「なんでそんな回りくどいことをしてまで……」 確かに回りくどい、しかし、世界の歴史の書き換えにも等しいことが行われていたことは恐怖としか言いようがない。 「全ては不幸を減らし、人間を減らす『神様』であるがためです」 「面倒くさいことする『神様』だな……」と、セルゲイは呆れ気味に言い放った。そして、続けて尋ねた。 「じゃあ、この試験が宇宙飛行士選抜試験に似たようなものだったのは」 「ええ、このような『隔離』するメンテナンス要員(クルー)としての耐久を見るためのものでした。宇宙飛行士選抜試験も似たような隔離状況での行動を見るものですからね。私がインターネット上で集めた宇宙飛行士選抜試験はまさにその手段として的確でした。
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