5 神様

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「その王国は様々なものがあり、混沌(カオス)なのです。そこから性愛の神エロスを生み出し……」 今度はギリシャ神話の始まりか…… これ以上、話を聞いていても仕方がない。ディオは蹴り飛ばすように『神様』に繋がっていたコンセントを抜いた。 停電が起こり、いきなり切れるテレビのように『神様』のデイスプレイには何も表示されなくなった。 「こんなイカれた機械、存在自体が害だ」 これが九人の共通認識であった。これで全てが終わったと安堵した瞬間、停電が復旧した後のように、じわぁりと『神様』のディスプレイに光が灯る。 そして、無機質な音声がディスプレイより聞こえてくる。 「予備電源作動…… 予備電源作動…… 予備電源のみでの作動時間は約50時間…… 早期の電源接続を推奨…… 繰り返します……」 「チッ、しぶとい。どうする? 慈悲で50時間放っておくか?」 「誤作動で時計が56億7千万年後になっても厄介だ」 ウィリアムはM9を構えた。しっかりと電源が点き灰色に光るディスプレイに向かって銃口を向ける。 「なぁ、仏師のおっさん」 「どうしました?」 「確か「死ねば神様になる」って言ってたよな?」 「ええ、万物死ねば皆仏です」 ウィリアムはM9を三発、ディスプレイに叩き込んだ。一瞬で暗くなり、三つの穴が空き、何も言うことはなくなった。 こうして『神様』はこの地を去った。
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