決闘

8/11
前へ
/11ページ
次へ
「そうでしょう。仮令て言うなら機関銃がずらっと並んで待ち構えている所へ竹槍だけ持たされて突撃!と命令され、そんな無謀な無慈悲な要求に機械的に盲従して突撃を繰り返す事に対して兵隊さん達はよく戦ってくれている、兵隊さん達は勇敢だと崇めているのと一般でしょう。実際、負け戦が確実な無上に苛酷な戦局に於いて日本兵はそれに近い有様なのに大抵の人は真実を言う者に悪感を持ち、真実と向き合わず、レトリックを尽くし美辞麗句や綺麗事を並べ立て絵空事を言う眉唾物の似非知識人に好感を持ち、絵空事を信じてしまいますから大本営発表を鵜呑みにしてしまい全く始末に負えません」 「全くですわ」 「嗚呼・・・美言は信ならずです。真実を述べ続けますと、勇者というのは非国民にされようが、国賊にされようが、投獄されようが、処刑されようが、戦争反対と叫ぶ者が勇者なのでありまして同じ死ぬのなら戦争反対と叫んで死ぬべきで皆と一緒に戦争に参加して死ぬ様な腰抜けが勇者な訳はないのです!」 「確かにそうでございますけど、この軍統制下の中で戦争反対!なんて言って逆らうのは難しいことでございますわ」 「ええ、勿論、特高警察が目を光らしてるんですが、ガンジーみたいな勇者が現われて彼に皆が賛同し追従すれば、逆らう事は可能ですよ」 「でも、それでは皆が非暴力運動することになりますわ」 「まあ、そうですね」 「そうしますと戦争を放棄する事になりますわ。どうやって国を守れば良いんですの?」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加