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満開の桜に囲まれ、見覚えのない場所にたっていた。
『若葉! 』
『莉、莉子?… 』
振り向くと死んだはずの莉子が微笑んでいる。
『ここはどこなんだ?どうして莉子がいるんだ?』
莉子は桜に夢中で、僕の話を全然聞いていなかった。
『見て!凄く桜が綺麗だよ。』
桜の香りを胸いっぱいに吸い込み、幸せそうに笑っている。
『お前は死んだはずじゃ… 』
そう言いかけた時、体が浮き上がるほど強い風が吹いた。
『ねぇ、桜の花言葉、覚えてる?』
莉子との距離がどんどん離れていく。
『花、言葉? 』
いっそう強い風が吹き、とうとう莉子の姿は見えなくなってしまった。
『くそ、莉子、莉子!』
必死にもがくが、体はどんどん浮き上がる。
ピタリと風が止んだかと思えば、体は急速に落下して地面に叩きつけられた。
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