エピローグ

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同期は私を含めて三人。 聞慣れないパンツスーツを身に着けて、足元は歩きやすいパンプス。 「堅苦しいリクルートスーツじゃなくていいよ」と、先輩も上司も言ってくれる職場だけれど、初日はちゃんとしなさいってお父さんが。 大企業ではないし、どちらかというとこじんまりした職場。 でも、私はこの会社の空気がとても好きで、ここで働きたいと心から願った。 私は、二年で会社から認めてもらえるように頑張ろうって、心に決めている。 長期休暇ごとに、いろんな国に留学に行くお客様がいる。私たちの仕事は、その相談から手続き、必要に応じて引率や添乗業務も。 まずは一通りすべての国に行ってみないと、一人前の仕事はできないって言われた。大体3年から4年かかるって。 でも、私はもう長いことアルバイトをさせてもらってきたから、希望すれば来月のGWからでも添乗に研修同行ができる。 少しでも早く仕事を覚えて…健太君のご両親に「もう大丈夫」って思ってもらえるように、自分で自分に自信が持てるように…頑張ろうと思う。 私はビルに足を踏み入れる。 エレベータで、おそらく同じ新入社員だと思われる女の子と乗り合わせた。 同じ行先ボタンを押したその子に「おはようございます!」と笑顔で声をかけてみた。 完
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