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プロローグ
約一年間の留学から帰ってきて、もう二か月近く。
一年ぶりの日本の夏は…湿度が高くて蒸し暑い。でも…懐かしい。
なにより、大好きな人がいる国だから…やっぱり私は、ここがいい。
子どもの頃から、バレエを10年以上習わせてもらってたから、昔の私にとって「留学」という言葉は「バレエ留学」という意味だった。
各年代でとびぬけて上手な子は、本当にバレエ留学に飛び立ったし、私の同級生も一人、今もそうやって頑張っている。ときどきメッセージをやり取りするくらいだけど、この間国際コンクールでかなりいい結果を出していたのをニュースで見て、『おめでとう』の連絡をしたら『まだまだこれから』って返事が来た。私にとって、昔から「留学」という言葉は身近なところにあった。
でも、私が…とは、思っていなかったかもしれない。
高校生になって、オーケストラに入ってたくさんの人と出会い…そしてクラスでも多くを学んだ。
もともと人見知り気味で、人と話すときにもあまり流ちょうに話せなかった私が、英語だったら自分の意見をちゃんと言えることに気が付いたのは、高校二年の頃だったと思う。
人と話すことを楽しいと思い始めていたちょうどそのタイミングで、しっかり相手とコミュニケーションを取れるツールを手に入れたような感覚だった。
でも、日本でこのまま学んでいたら、受験のための英語を勉強してそこまでだと思ったの。私は、英語圏で暮らしてみたい…英語を使う人の中に入っていってみたいって、少しずつ現実的に考えるようになっていった。
近い将来仕事に就くとき、国際機関で働きたいと思っていたのも大きかった。
外の世界を見たい…本心から、そう思うようになった。
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