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遅れて来た眼鏡っ娘
――四月。
今日から高校三年生になった。
……が、学校に向かう俺の足取りは重い。
いっそのこと死んでしまえば、楽になるのだろうか……。
ふと、そんな気持ちに支配されそうになる。
この先に待ち受ける未来に対して、何の希望も持てず、あるのは憂鬱だけなのだ。
可愛い彼女でもいれば、こんな気持ちにはならないのかもしれないが、陰キャラの自分に彼女など出来るはずもない。
「ねぇ、ちょっと!」
背後からの声に振り返ると、可愛い女の子が目を輝かせて手を上げながら、こっちに走って来る。
「待ってよ!」
満面の笑みで駆け寄って来る同じ学校の制服を着た少女。
「えっ……」
何か用かと思っても、何も言えないでいる俺の横を素通りし、前を歩いている別の女子生徒の元へと駆け寄ると、そのまま並んで歩き始めた。
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