ドS王子からは逃れられない~リクエストSSシリーズ~

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「それでは、校内アンケート、彼氏にしたい男ナンバーワンに選ばれました高砂洸(たかさごひかる)君より、挨拶をしていただきましょう。高砂君、どうぞ」  舞台上に立つ司会者の生徒に招かれて、一際輝かしいオーラを放って壇上に立った高砂は、司会者からマイクを受け取ると軽くパーマのかかった栗色の髪をかきあげて、舞台の上を見つめる生徒に向かって微笑みかける。  男子校でもないこの高校で、文化祭前に行われたアンケート。つまりは人気投票のようなもので『彼氏にしたい男』『彼女にしたい女』など、ミスコンみたいな投票があるのだけれど、高砂は二年連続一位を取っている人気者である。  ――確かにかっこいいけれど。  「どうも。高砂洸です。去年に引き続き、彼氏にしたい男ナンバーワンに選ばれたみたいで、驚いています。この後、撮影があったりするみたいだけど、写真、撮りたいって人は、いつでも声かけてくださいね」  さらっと短めの挨拶をして、高砂が笑みを浮かべると同時にキャーと女生徒達からの黄色い声援が飛ぶ。その中に男子生徒も混じっているのだから、恐ろしい。  壇上から、袖の方にはけていく高砂の姿を目で追いながら、穂澄暁人(ほずみあきと)は自分とはかけ離れた関わることのない人間だと感じていた。  穂澄は目立つことが苦手で、基本的に一人でいることが多い。友人がいないというわけではないが、秀でて目立つような見た目でもない穂澄は、高砂のような雰囲気の人間と関わる機会などない。  加えて、穂澄は自分から他人に話しかけたりするタイプでもないから、話しかけられたら返す、と言ったくらいの人付き合いだ。  それに対して高砂はと言うと穂澄とは真逆の存在だと言える。明るい性格で、誰にでも優しく穏やか。百八十センチに届くくらいの高身長で、程よく鍛え上げた均整の取れた体型。そして、人気投票一位になるほどの美貌。クォーターだと噂される高砂の顔は、少し淡いヘーゼルのような色味の瞳が印象的で少し日本人離れしている。  「洸。やっぱ、今年も一位だったな」  「さすが、高砂君よね。まあ、この高校の王子様だから」  「ははは。僕は別に王子様じゃないんだけどね。でも、まあ、嬉しいけど」  壇上から降りてきた高砂の周りには、生徒がどんどん詰めかけていて、あっという間に人だかりが出来ている。話しかけられた生徒に笑顔を振りまいて、宣言した通りに写真撮影に応じる高砂は、本当に人当たりがいい。  穂澄はそんな高砂姿に、気取らない王子様キャラが人気なのだろうな。と冷静に分析してしまった。  穂澄と高砂は同じクラスなのだけれど、ほとんど口をきいた記憶がない。それくらい穂澄と高砂は別の世界にいるという事なのだ。
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