叫びと悲鳴と。

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どんなに神に祈っても願いは届かずにいる。 望んだ願いは誰にも知られることもなく、無残に消えてしまう。 それが宿命ならばしかたない、と誰かがこぼしている。 それでも僕は信じると、別の声も聞こえる。 どちらにも転べない、どちらにも傾けない、 両方の間でユラユラしている。 嗚呼、神様は一体私に何を望まれているのかーー、 そして、未来にはどんなことが待ち受けているのかーー、 ため息で、自分に対して答えてしまう、まるでそれを暗示しているように。 嗚呼、神様、私はどうすればこの薄暗い現実から解き放たれるのかーー、 その答えを求めて望んで必死で祈り続けてーー、 それでも何も見出せない。 嗚呼、神様は私にはなんにも教えてくださらない。 それでも、それでも必死でまだ祈り続ける。 やっぱり神様は時には見ないふりもするんだろうか? こんな世界、秩序も失われていく、そういうこともほんとはわかっていても、わざと気づかない、知らないふりをしているんだろうか? それを誰かは神さまが試しているという、 また別の誰かはーー神はこの世には存在しないという。 今まで何兆何億以上の人間や生物がこの世界に誕生して、死んでいったんだろう。 そのすべてを把握できる存在はどこにいて、それは誰なんだろうか? そんなことを考えてしまう。 嗚呼神様はーーと何度叫んだって祈ったって届くはずはない。 心に宿した想いは神には届かずに、胸の中で封印されてしまう。 その想いは、いつか汚れた泥にでもなって身体の中から排出されるんだろうか? 誰か投げた小石が見知らぬ誰かを傷つけても、それは暴力とはいわれずにただの運の悪さで片付けられてしまう。 生きてるとはそういうことの繰り返しなんだろうか? ねぇ、ホントは神様はなにかを知ってるんだろうか? 私たちが思い煩ったたくさんのことが他人に対しては悲劇だったことや、 ほんの少しのイタズラが、人の生命までも奪ってしまうくらいになったことなんかも、 ねぇ、神様は私たちを裁くよりは放っておくんでしょうか? 知らぬ間に降り積もった罪悪感でいつか自分で自分を裁くようになるまでは、誰かに笑いかけられても顔を背けてしまうくらいになるまではーー。 ねぇ、神様は、わたしのことをどのくらい知ってるんでしょうか? 小さな、生まれた頃から抱いた数えきれない感情がどんなに悪意のあるものだったのか。 それを覚えていたらわたしはたぶん真っ黒な人間になってしまう。 ねぇ、神様は、この世界のすべての存在の心の中まで読めるんですか? そして、だれかとだれかを特別にするんでしょうか。 その中にわたしは決して含まれるはずもない。 諦めと絶望と無目的が心の中にはびこっていく。 嗚呼神様はーー哀しい悲鳴にも応えることもなく、溜息をひとつこぼすんだろう。 わたしは自分がなくなるその日まで、絶望しながら在るしかない。 涙を流しても、何度も何度も叫んでも、相手のない巨大な何かに対してーー、 勝手な意味づけをしながら、勝手な悪意を抱いて、そして、また意味のない日々を送って過ごす。 それがそれが、この世界の法則なんだろうか? 嗚呼神様、ホントウの幸福の意味を教えてほしい。私がわたしで生まれた意味の何もかもを、そのすべてを、知れる限りの全部の秘密もぜんぶを! それを望むことは自由にできるんだろうから。
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