私と彼と君

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 暁君を敬一さんのご両親にあずけて五日間タイのプーケットに新婚旅行に行った。敬一さんからはヨーロッパに十日間でもと言われたけれど、暁君が心配だったし、五日間二人でゆっくりできたので私は満足だ。今までは会えてもホテルで一時間半ほどだったのに、二人きりで五日間。考えられないような甘い時間だった。  旅行後。初めて足を踏み入れた敬一さんの家はお世辞にも片付いているとは言えない状態だった。男二人で暮らしていたから仕方ないのかもしれない。私が使う予定の部屋だけががらんとしていた。  早速その部屋に車で運んできた荷物を入れる。住んでいたアパートから持ってきたのは小さな本棚と本。使い勝手のいい圧力鍋とフライパン。数枚の衣類と枕。もともとあまり物を持たないタイプの私。家電は敬一さんの家にあるだろうし、ほとんどの物を処分してきた。敬一さんが初婚だったら二人で家具を見て買う楽しみもあったのかもしれないけれど、家具があるならあるでそれを使わせてもらうしかない。ただ、二人の寝室のベッドは変えてもらうことにした。前の奥さんとはもう一緒に寝ていなかったとは聞いていたけれど、それでも暁君ができる営みをされたところでは寝る気になれなかったのだ。ベッドが届くまでは、来客用の布団で寝ることになった。私は暁君と三人で川の字で寝ることも覚悟していたのだが、 「俺は自分の部屋でいつも一人で寝てるのでいいです」  と暁君に言われてほっとしたようながっかりしたような気持ちになった。
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